こんな状態でも弦を張れる状態にもっていけるのか……?
先月から取り掛かった古いモーリスのアコースティックギター。ブリッジが外れてるので、修理とのこと。
はーい!ブリッジ作成ですね◎と、ここ1年で随分と慣れた、ボディからブリッジを取り外すという作業を開始。
アイロンで温めながら、ヘラで外していきます。
そしたら、ん?おぉぉぉぉー!!!!!??やっちまったー!!!冷汗
大きな大きな穴があいてしまった……焦
と、思いきや。よくみればなんだか直した跡。
今できた穴ではないとわかり、ホッとしつつも、なんですか、この穴。
こんなことがおこるんですね。
周りのペーパー傷からも思うに、取れてしまったブリッジを、どうにか自分で付けてみた…が、再び弦を張れるところまでいけなかった。もしくは、張れたけどもすぐ取れかけてしまった。
という感じだったのでしょうか。
このギター、サウンドホールから中をみると、ところどころ「ん?」と思う違和感。
1960年代からギターの製造を行っているモーリス。この頃はまだ芳野楽器としてアコースティックギターの製造をしていたみたいです。
HPによれば、「MORRIS」ブランドを量産し始めたのは1972年から。
ラベルを見れば、「MORRIS」1968年…本当に初期の初期の頃のギターなのではと。
所々に試行錯誤を感じられるギターだねって話していました。
ブリッジを取り外し、サウンドホールに手を入れて、真っ先に思った違和感は…
「ブリッジ裏の板がない…!!」
これは一大事件。
バック板と同じような、ブックマッチ部分の補強だけされています。
トップ板のこの部分は、ブリッジがついて、そこに弦が張られて…何十キロという力が加わる場所。通常、硬い木を補強で貼るんです。
なので、兎にも角にもソレを取り付けました◎
穴があいていたので、このあとに穴や段差を埋めて……
修復箇所はここだけに留まらず、割れている部分の補強、ブレーシング剥がれを直したり。
なかなかの修理を経て、新しく制作したブリッジが取り付けられ、ついに弦が張られました。
かっこいい。。
そして良い音!!
私も佐野さんも生まれる前から、この世に存在していたこのギター。
いつまで弾かれていて、いつ壊れちゃって、いつからそのままだったのかわからないけれど。
弾けない状態でも、捨てられることなく今までいてくれたのはきっと、持ち主にこのギターとの思い出があったからじゃないかな。
持ち主の心の片隅にでも、このギターに対する思いがあったから、テレビでF-ROOTS(ふるさと返礼品)が取り上げられているのをみて、思い出して持ってきてくれたのかな。と、そんな一連の流れを感じて、リペアを手伝いながら、感慨深くなっていました。
1968年から、2023年。
フォークブームだったあの頃、どんな曲を演奏していたんだろう。
そしてこれから、どんなメロディーを奏でていくのかな。
1968年当初の職人の痕跡、いつかリペアやカスタマイズしてみた痕跡。
2023年、興味深くそれらを観察して修復する我ら。
F-ROOTSのリペア痕も、このギターに刻まれて、これから先へ。
とても楽しいリペアでした!
ありがとうございました!
ギターリペア&カスタマイズ F-ROOTS
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