ギター銘木端材との出会い
rocca39*(ロッカサンジュウキュウ)という屋号で、ギターも作れる銘木端材を使ってアクセサリーを制作しています。
いつもそう説明をしておしまいなのですが、そもそもなぜギター銘木端材なのでしょうか。
昔、アコースティックギター製作を習いに工房に通っていたことがあります。
名古屋は楽器製作工房や学校が多く、意外と近くに教えてくれるところがあり、1年ほど通っていたのです。
それまで木=茶色という認識しかなく、ホームセンターで見かける数種類の木材しか知らなかった私。
ギター工房で、初めてみる木材たちに驚かされました。
茶色、黒、クリーム色、赤!キラキラ虎杢、リボン杢。
世界にはこんなにも、カラフルで個性的な木材があるのか!と感動したものです。
アコースティックギター制作に適した材料というのは、ボディのトップ板は弦振動を音に変えやすくするように、軽くてしなやかな木材が使われることが多いけど、バック材やネック材には適度に硬い木材が使われることが多いようです。
弦も金属弦を張るため、70kgほどの張力がトップにかかるのだそう。
そして細くて長いネック材の中にはトラスロッドという金属棒が入っていて、反りがでた際には調整できるようになってはいるけど、とはいえ曲がらないように良質な木材が必要なのです。
今では入手困難の木材や、長い年月をかけて自然乾燥させた木材など、楽器に使われる木材というのは銘木と呼ばれる貴重な木材がほとんど。
そんな木材を扱っているうちに、ふと疑問が湧いてきました。
こんなにも貴重な木材だけど、形を切り出した後の残りの部分は捨ててしまうの?
ギター材として使えなくなった部分は価値がないのだろうか。
工房では毎日のように端材がうまれます。
人によってはそれを大事に取っていたりもするけど、そうではない人もいます。
ペール缶に捨てられる銘木を見てると、我慢できなくなり、よく拾っていました。
まるで宝もののように、道具箱やカバンに入れて大事に持って帰っていました。笑
ギターを作る上では「使えない材料」かもしれない。
でも、それよりも小さいモノ…アクセサリーだったらじゅうぶんに「銘木材」のままなのでは。
何十年かけて成長した樹を、数十年も前に切り出して乾燥させた木材を、今やっと使っている。
すでに絶滅危惧種となり、ワシントン条約にも登録されている木材が、良い音がすると重要視されている。
そんなこともあって、昔のギターがやっぱり良い音がすると言われています。
今後、良いギターを作れるほどの材料が確保できるのだろうか?
既に銘木材の代用として人工材料で作られたギターは出回っているようです。
私がギター製作を学んだ動機なんて、学生時代に身近にあったギターを作ってみたい。という想いから。良い音を自分で作りたい!という感覚で学んだのではなく、あの形を作ってみたい、インレイ装飾を入れてみたい、というところから。そう、どちらかといえば見た目の話。
皆とは違い、そんな動機だったから、「アコギを作る」ではなく、ギターに使われる銘木端材でアクセサリーを作ろう!という考えに自然とシフトチェンジしていきました。
銘木と、異質素材を組み合わせて。
ギター製作に使用される貝や金具、金属。
あの頃とっておいた銘木材は手元にはもう少ない。 (でも小さなものはまだまだあります。笑)
今はリペアをしている仲間から譲り受けたり、ギターを作れる材料でも、大きさの問題で端材と呼ばれてしまう良材を仕入れています。
ふと閃いたアイデアを、大きな機械を使わず、ひとつひとつ手作業でカタチにしています。